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2023/07/18 中学校

「かんくら文学賞2022」が本になりました!

中学1・2年生の国語の授業で「作家の時間」に取り組んでいます。昨年度の執筆の成果冊子が完成しました。以下に「はじめに」を引用します。

「作家の時間」-この一風変わった授業スタイルを本校が取り入れたのは2020年度のことです。書く題材を自分で見つけ、自分のペースで、書きたいことを、たくさん書く。出版して読者からのフィードバックを得て、それを励みにまた書いていく。この授業では、生徒は「作家」であり、先生は「編集者」です。従来の授業スタイルに比べてとても自由度が高く、学びのハンドルを握っているのは作家である生徒自身です。
喜々としてペンを動かし、矢継ぎ早に作品を書き上げる作家もいれば、書くべきことをなかなか見つけられずにノートを前にして苦しんでいる作家もいます。ものを書くことは、単に自分の中に出来上がっている思考や感情を紙の上に出すだけではありません。それは自分自身の内面に目を向け、曖昧に浮かんでいた自分の思考や感情に言葉という形を与えて結晶にすることです。「作家の時間」では、書くことが得意な作家も苦手な作家も、自分自身の内面と向き合い、言葉と向き合い、こちらの期待通り、いやそれ以上に自分を成長させてくれています。
 「かんくら文学賞」は昨年度(2021年度)から始めた取り組みです。初年度は小説部門のみ、2年生のみで開催しました。ノミネートされた作品が素晴らしいのはもちろんのこと、それらに寄せられる他の作家仲間たちのコメントにも驚かされました。どのコメントも作者への思いやりに溢れているのと同時に、作家の目をもって具体的に批評することができており、書き手も読み手も大きく成長していることを私たち編集者に実感させてくれるものでした。これに手応えを得て今年度は規模を拡大し、1・2年生ともに、3学期に執筆した作品を「詩歌」「小説」「エッセイ」の3部門のいずれかにエントリーする形にしました。さらに、作家仲間の投票によって選出される「作家大賞」、編集者の協議によって選出される「編集者大賞」に加え、作家OBである3年生の有志の協議によって選出される「先輩大賞」を新設しました。10名の3年生が選考委員として参加し、白熱した議論の末に「先輩大賞」を選出してくれました。さらに、選ばれなかった作品にもコメントを書きたいと言ってくれる姿に私たちは感動を覚えました。
 この冊子を手にする作家たちが、言葉を味わうことを通してお互いのつながりをさらに深め、関西大倉に書くことの文化を形成していってくれるものと期待しています。

この成果冊子を授業の中で配布し、作品が掲載された作家に対してファンレターを書く時間を取りました。たくさんのファンレターが後日作家に手渡されます。自分が書いたものを実際に他の人に読んでもらえること、そしてフィードバックをもらえること。このようなやりとりを通して、生徒の中に読むこと・書くことが文化として根付いてきているのを感じます。