三学期始業式を行いました。
「新しい年も10日が経過しました。
お雑煮、お餅は食べましたか。自宅では。鏡餅は飾られていますか。
鏡餅の由来、なぜ鏡餅というのでしょう?
鏡餅の由来は、昔の鏡に由来します。昔の鏡というのは丸い形をした銅鏡ですが、古くは弥生時代から使われ、三種の神器の一つでもあります。
鏡は、日の光を反射し太陽のように光ることから、日本神話で太陽の神様とされる天照大神に見立てられ、神様が宿るものと考えられるようになりました。伊勢神宮をはじめ、鏡をご神体としているところがたくさんあります。
今日の始業式は、食べ物、特に、食品ロスについて少し触れたいと思います。
三重県の伊勢神宮に神宮会館というレストランがあります。
食事を注文すると、お膳にお箸が添えられています。
その箸袋に二首の句が書かれています。
「たなつもの 百の木草も 天照らす日の大神の 恵みえてこそ」
(食べ物となる植物が育つのも 天照大神の恵みがあってこそだ)
「朝宵に 物くふごとに 豊受の神の恵みを 思へ世の人」
(朝夕に 食事をいただけるのも 食物の神である豊受大神のお陰だということを思いなさいよ)
この二つ句は本居宣長が詠んだものです。
本居宣長は江戸時代中頃の国学という古事記や源氏物語など古典を研究する学者で、宣長はこれらの句を「唱えなさい」と強要するようなことはしなかったそうです。
ただ、そうしたことを思わずに食事ができるであろうかと考えたということです。
それは、宣長が色々な物に対して抱く深い感謝の心を持っていたからだと考えられます。君たちが食事の際にいう「いただきます」「ご馳走さま」という言葉に表されていると思います。
さて、ロシアによるウクライナ侵攻も二月で、1年が経過しようとしていますが、その影響もあってか、食品だけにとどまらず燃料などいろいろなものの値段が上がってきています。ものによっては30%もあがっているものもあると聞きます。
一方で、日本では、食べられるのに捨てられる食品、所謂、食品ロスの量が年間612万トンあると言われています。612万トンという数字は、日本人1人当たり毎日お茶碗1杯分を捨てている計算になるそうです。日本では、家計における食費は家計の支出の4分の1を占めていますが、食料自給率(カロリーベース)は38%といわれ、食料の多くを海外からの輸入に依存しています。
食料を輸入するということは、大量の水を輸入することでもあり、食料をつくるために使われた水も輸入しています。それは、他の国の水を奪うことでもあるのです。
また、世界に目をむけると食料の廃棄量は、年間約13億トンだそうで、人の消費のために生産された食料のおおよそ3分の1が捨てられています。このように、食料を大量に生産、輸入しているのに、その多くを捨てている現実があります。
では、何故、食品ロスを削減する必要があるのでしょうか。大量の食品ロスが発生することにより、様々な影響や問題がでてきます。食品ロスを含めた多くのごみを廃棄するため、ごみ処理に多額のコストがかかっています。
また可燃ごみとして燃やすことで、CO2排出や焼却後の灰の埋め立て等による環境負荷が考えられます。食料を輸入に頼る一方で、多くの食料を食べずに廃棄するという無駄があります。多くの食品ロスを発生させている一方で、9人に一人とか7人に一人の子どもが貧困で食事に困っているとのことです。ですから、私たち一人ひとりが食べものを無駄なく、大切に消費していく必要があります。では、食品ロスはどこから発生しているのでしょう?先ほど言いましたが、日本の食品ロスの量は年間612万トン。そのうち、飲食店など事業から捨てられているもの、規格を外れた品々、返品、売れ残り、食べ残しなどが328万トン、家庭からは284万トンで、主に食べ残し、手つかずの食品を直接棄てる、皮の剥きすぎなど過剰除去が発生の要因です。
日本は食品ロスを減らすため、2000年の時の半減を目標にしています。小さな行動も、一人ひとりが取り組むことで、大きな削減につながります。食べものをつくる生産者・製造される方への感謝の気持ち、食べものを無駄にしないという意識はあっても、行動に移せていない人もいるかもしれません。では、身近なところから食品ロスを減らすためにはどうすれば良いのでしょうか。
基本は、買物の時に「買いすぎない」、料理を作る際「作りすぎない」、外食した時に「注文しすぎない」、そして「食べきる」ことが重要です。お弁当にしても、食堂のメニューを利用して食べるにしても、残さず、食品ロスを出さないよう心がけてください。そして、毎日三度の食事がいただけることに感謝する優しい心を持つことです。
今週末からは中学入試、また、共通テストがあります。
本格的に学習に入るのは来週以降、二月には高校入試もあり、三学期はアッという間に終わります。
新年の「おめでとう」とは、新しく生まれることで、心機一転をはかることでもあります。終わりよければすべて良しです。
高三生の皆さんで共通テストを受験する人は、体調を整え万全の体制で望んでください。
以上で、講話を終わります」