始業式校長講話
新年おめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
新年早々、能登半島を中心に大規模な地震があり、多数の方が亡くなられ、避難生活を強いられている方もニ万人以上おられます。
心からお悔やみ申し上げるとともに、お見舞い申し上げます。
始業式では、冒頭、黙祷を捧げ、その後、講話を行いました。
以下、講話の内容です。
新年の「おめでとう」という言葉がありますが、昨年迄は新型コロナもあり、中々声が出しづらかったかもしれません。只、何より声の大小を気にせず「おめでとう」と言えるようになりました。
「おめでとう」は新しく草木の芽が出ること、生まれることを意味します。心機一転をはかることでもあります。1万札などの紙幣も7月3日からは、新しい紙幣に切り替わり、新1万円札の肖像も福澤諭吉から渋沢栄一に変わります。
今日の始業式の話は、旧紙幣の肖像福沢諭吉について少し触れることにします。
福澤諭吉といえば慶應義塾を創立した教育者です。
「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らずと言えり」
これは福沢諭吉が記した『学問のスゝメ』の冒頭の一節で、聞かれたことがあると思います。
実はこの冒頭の続きは、
「されど今広くこの人間世界を見渡すに、かしこき人あり、おろかなる人あり、貧しきもあり、富めるもあり」
という文が続きます。
「広く世界を見渡してみると、賢い人もいるし、愚かな人もいる、貧しい人もいれば、お金持ちもいる」と
そして、その理由について、
「人、学ばざれば、賢人と愚人との別は、学ぶと学ばざるとに由りて出来るものなり」
と記しています。
つまり、「人、学ばざれば智なし、智なきものは愚人なり」という言葉があるように、賢い人と愚かな人の差は、学ぶか学ばないかによって決まると言っているのです。
考え方は色々あると思いますが、只、君達生徒の皆さんにとっては、中学、高校、大学の時期が最も重要であり、この先社会に出て働いたとしても、社会は急速に進歩していますから、この先も学び続ける必要があるのです。それは我々教員も同じです。
『学問のスゝメ』は、今から150年前の明治5年、1872年に初編が刊行され、1876年の17編までシリーズとして随時出版され、340万部出たそうです。当時の人口が約4,000万人とすれば、約1割近い人達が読んだことになり、明治の人たちの上昇志向がうかがわれます。
『学問のスゝメ』は図書館にありますので、一度読んでみてください。
封建社会から近代国家へ移行し西洋化が進む中、その切り札として学問の重要性を説いたと言われていますが、「教え有りて類無し」という『論語』の言葉もあるように、人は教育によって成長するもので、初めから特別の種類はありません。向上心が自分自身、君達を成長させる源で、人として大きく生きていくための下地づくりを今行っているといえるかもしれません。
二学期終業式では、「積み重ね、積み重ねても、また積み重ね」という内藤多仲の座右の銘の他、「努力」についていくつか触れました。個人個人一人ひとりの努力の積み重ねは、あくまでも個人的なものです。しかし、その努力の積み重ね、君達一人ひとりの努力が生徒の皆さんを成長させ、成果となり、それが多くの人の歓びに結び付き、結果として社会が進歩する力となります。
努力の結果にマイナスはありません。
生徒の皆さんにとって、自分自身、自らの勤め、義務や意義、何のために学ぶのか。
友達や人を貶めることを目的に学校に来ていますか。いないはずです。スマホやLINE、ゲームをするため、You tubeを見るためを目的に学校にきている人は誰もいないはず。
学校へくる目的は何か、どのような力をつける必要があるか。何のために大学に行こうとしているのか。その使命感が大切で、自分自身をすこしずつ成長させていくことが、今の君達、生徒の皆さんに求められていることです。
一挙に成長し、完成することはあり得ません。使命は使う命と書きます。命は使うものです。誰かのため、社会のため、人のために使うものです。
その結果として、信頼と豊かに満ちた社会がつくられていくことに、君たち一人ひとりが関わり、社会に貢献することになるのです。
たとえば、小さなことかもしれませんが…。
バスに乗る時、あるいは降りる際、運転手さんに声をかけ挨拶していますよね。乗る時は「お願いします」、降りる時は「ありがとうございました」
「していますか?」
先程言いましたように、昨年迄は新型コロナもあり、中々声が出しづらかったかもしれませんが、自分の心がけ一つ、挨拶一つで、運転手さんも気持ちが良いですし、君たちもすがすがしい気持ちになるはずです。
運転手さんと君達との間には安全運転という信頼関係が生まれるはずです。
挨拶は、本校生徒としてのマナーの一つです。
また、
・嘘をつかない。
・人に迷惑をかけない。
・正直であること。
・人には優しくする。
・自分のことばかりを考えてはいけない。
など、今、あげた5つは、昔からおじいちゃんやおばあちゃんからよく言われていたことです。
大人になるにつれて忘れてしまいがちなことですが、新学期を迎えるにあたり、もう一度世間一般に広く浸透しているモラルや道徳です。挨拶含め、本校生徒として自覚し、規範としてください。
さて、今週末には中学入試や共通テストがあります。本格的に学習に入るのは来週以降、また、二月には高校入試や卒業式もあり、三学期はアッという間に終わります。
最初に言いましたように、新年の「おめでとう」とは、新しく芽がでること、生まれることで、心機一転をはかることでもあります。
終わりよければすべて良しです。
「時間は有限、努力は無限、後悔は永遠」です。
高三生の皆さんの中で、共通テスト、私学並びに国公立大学の二次試験を受験する人、体調を整え万全の体制で望んでください。
高二の皆さんは時間切れ突入、後悔しないように…。
「お天道様が見てますよ!!」
以上で三学期始業式講話を終わります。